23日、立山連峰の真砂岳西面で雪崩が発生、登山やスキー中の7人が巻き込まれ、全員の死亡が確認されました。で、コジローがこの報を受けての第一感、え?、ホントに?、なぜ、あんなところで!

 いまアクセス可能な範囲での報道の中には、上級ルートと書いているものもありますが、我々山スキーヤーの感覚では、真砂岳西面はどちらかというと初級コースの印象が強いところです。真砂岳直下の壁は30度を超えるほどあって少々ビビリますが、真砂岳のピークからちょっと主尾根を下れば、なだらかな斜面に落ち着いて滑り出すこともできますので、怖かったら無理をせず壁は避ければいい。そこから下は適度な傾斜の斜面が雷鳥沢のテント場まで、遮るものなく続いていますから、ゲレンデでは考えられない大斜面に思う存分、自分だけのシュプールを豪快に描いて快適に降ればいい、そんな駆け出し山スキーヤーが快哉を叫ぶに最適の場所なのです。

 とはいえ実は、この中腹あたりで雪崩に遭遇したことがあります。今回とは違いゴールデンウイークでしたが、雷鳥沢の幕営地から真砂尾根を登り始めたものの天気が思わしくなく、山スキー初挑戦の初心者も含むメンバー5人の足並みも揃わなかったことから途中で登頂を断念、そこからの滑降に切り替えたのでした。しかし、滑り出した直後に踏み込んだスキーから板状雪崩が発生、一瞬で斜面全体に亀裂が走り、厚さ10センチ程度で大小の板状となった雪が斜面を滑り始めて、まず最後尾(ということは下りでは一番上)の初心者が足を取られ転倒して飲み込まれました。

 その直下にいた自分は、とっさに滑り落ちる初心者の手を掴んで流れ落ちる雪から引き出そうとしましたが、まあ、とっさゆえの愚かな盲動というべきで、なだれ落ちる雪の勢いを相手にそれはかなうはずもなく、さらには自分も手をつないだまま巻き込まれてしまいました。かくしてしばらく雪の中でジタバタしていましたが、幸いそれほど深く沈むことはなく、やがて上半身が雪の表面に出たため、雪崩が止まるまでそれに乗りながら、周囲を観察する余裕もありました。

 このときは、たしかに雪崩に遭遇したのですが、しかしそれは春ザラメの上に積もった湿雪の小規模な板状雪崩であって、この季節独特の現象であるとともに規模も大したことはなく、まあ、あの斜度だし、真砂西面での雪崩は起きたとしてもせいぜいこの程度だろうと、かえってタカをくくったほどでした。報道によれば、山小屋の関係者も、「真砂岳西面であれほどの雪崩は見たことがない」と、口を揃えているそうです。

 しかし、その真砂岳西斜面で大規模な表層雪崩は現に発生し、ベテランも含む7人の命を飲み込みました。山ではいかなる予断も許されない。理論や経験は助けにはなるが、山では何が起きても不思議ではない。背中にヒヤッと少し冷たいものを感じながら、今回の遭難の報道に耳を疑いつつ、目を凝らしたのでした。
 ともあれ、合掌です。

 さて、国会で焦点の特定秘密保護法案、やはりというべきか「みんなの党」に加え「維新の会」も子供だましの修正で自公に同調、要するに賛成したくて仕方がなかったところ、自公の「配慮」で言い訳ができたので大喜びで大手を振って賛成の図です。特定秘密保護法という名の現代版「治安維持法」、国家安全保障会議(日本版NSC)という名の「現代版大本営」、これに「自公み維」からなる現代版「大政翼賛会」ができれば、ファシズム、軍国主義の復活の道具はたいがい揃うわけで、あと残るのは「国民総動員法」と徴兵制、そして明文改憲くらいでしょう。

 国会での勢力関係を見れば勝負は既に決まった感じですが、こんなとんでもない歴史の逆流、安倍流アナクロ路線がマジで世界に通じるのか。さらに、こんな民主主義の全面否定を国民がそれを許すのか。コジローには、居丈高に多数を誇るアナクロ勢力が、数におごって自ら墓穴を掘っているように思えて仕方がないのですが。
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 11月16日は、東京文京区の全林野会館で森林インストラクターの二次試験が行われました。

 一次試験の合格通知とあわせて送られた二次試験の案内には、朝8時45分に会場集合と指示されています。当日朝一番の電車でも飛行機でも、和歌山からこの時間に到達するのは不可能なので、和歌山発東京行きの夜行バスを手配しようと思ったら二週間も前になんと満員! こんなこと初めてで慌てましたが、さらに探してみると南紀白浜から横浜・東京行の夜行バスがあることを発見、そのバスを予約して前夜に海南駅前で乗り、翌朝池袋駅に6時40分ころに到着することができました。

 全林野会館はあの8日の講習を受けた懐かしい場所です。東京メトロ丸の内線茗荷谷駅近くのカフェで軽い朝食をとって時間を調整し、8時過ぎに会場に着くと、すでに受講生が10人ばかり着席していました。早速、例によって最前列の特等席を占めたあと、会場に貼ってある受験生名簿を確認すると、コジローの受験番号は111番。ざっと見た限り受験番号は三桁のランダムで、どんな順で並べたのかわかりませんが、ともあれ「取れるときには全力で1番を取る」のが信条の自分にはラッキーナンバーです。

 全国8カ所で実施された一次試験を突破してここに集合した二次試験受験生は総勢73人。うち女性が16人で比較的若く、男性は高齢者が多い印象でした。二次試験の内容は実技と面接各5分ですが、6割強の受験生が実技試験を免除されていました。試験は一日がかりで日が暮れるまで行われます。

 受付を終えて全員が着席するとまず試験のガイダンスがあり、続いて藤森隆郎博士の講演。藤森先生は多数の森林林業関係の著書をお持ちの超有名な先生で、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の日本代表執筆者でもあり、コジローもそのご高名だけはよく知っています。8月の講習会でも冒頭の森林生態学の講義を担当されたのですが、今回は文化や精神も含めた森林と人間との関わり、森林インストラクターの心得などについて、痩躯をピンと伸ばし飄々と語られました。

 その後10時20分からいよいよ二次試験。遠方の受験生から済ませて早く帰れるよう配慮されているようで、2会場に分かれて同時進行で行われる試験でコジローは午前中のラストでした。その順番を待つあいだ、近くに座った受験生数人と話したのですが、どなたも2回以上のチャレンジでようやくたどり着いたとのこと。コジローは知らなかったのですが、合格した科目の受験免除期間が最近3年から5年に伸ばされたらしく、それでなんとか首がつながってここまでこぎ着けたとおっしゃる方もおられました。夏の講習会や大阪での一次試験で知り合った方には、どなたもお目にかかれませんでしたし、やっぱ、難しい試験だったんですねえ。

 さて、いよいよ順番が回ってきて試験会場に入室すると、藤森先生を中央に、三人の試験官が着席しておられました。左の方は日本の女性登山者の草分け小倉薫子(のぶこ)さん。このお二人の圧倒的な存在感で、右の方はきちんと確認できませんでした。

 話すよう求められたのは、自己紹介と森林インストラクターを志した動機、次いでこれから目指す活動。ま、話すのは得意な方なのでいつも通りテキパキ話し、特に有機農業の意義など藤森先生も大きく共感され我が意を得たりで面接を終えたのですが、最後に小倉さんから「あなた、バババって立て板に水もいいけど、もうちょっとゆっくり話したほうがいいわよ、お年寄りや子供もいるんだし」って、キツーい一言。(^_^;)  ともあれ、席を立とうとすると藤森さんから、「森林インストラクター、あなたにぴったりですからね、おおいに頑張ってください」と激励されましたから、まあ合格したってことだと思いますが、正式の発表は12月の上旬だそうです。

 ということで、とにかく二次試験は終わりました。


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 茗荷谷駅前のサンマルクカフェで。隔離された喫煙室、なんか、収容所の雰囲気です。

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 制服ショップ。これも不思議な雰囲気でした。 

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 元の東京教育大学(現筑波大学)キャンパスの植栽を生かした緑地に、こんなオブジェがありました。この中央に座ると、二人の女性から見つめられている嬉しい図に。・・・で、もちろんコジローのこと、通りがかりの人にそのシチュエーションで撮影してもらったのですけれど、それはちょっと載せられないよねぇ。ではまた~です。
 11月3日、久々に山を歩いてきました。前回の山行は7月末の立山大日岳。その山行で体験した異常な息苦しさが、特発性間質肺炎に罹患していることを発見するきっかけとなりました。以来、これとの闘いをめぐって様々な経過があり、9月下旬に胸腔鏡下肺生検を実施、これに起因する肋間神経痛に悩みながら約50日を過ごしてきました。その大日岳以来、3か月半振りの山です。

 向かったのは西大台。先にも書きましたが、日本で唯一の利用調整地区であり、通常期の平日は30人、週末は50人に入山者が制限されています。コジローが入った3日は利用が集中する紅葉期ということでこの人数制限がやや緩和され100人がリミットです。環境省大台ヶ原ビジターセンターのホームページで入山許可の発行数が確認できるのですが、それによればこの日は70人ほどが利用したようです。

 大台ケ原は紅葉の名所として名高く、この時期は関西一円のみならず全国から観光客が殺到、広い駐車場から車が溢れて最大3キロほども大台ドライブウエイに路駐(厳密には交通違反です)の列ができるほど。しかし、そんな東大台の喧騒をよそに、許可がなければ入れない西大台は450ヘクタールの広大な原生林にたった70人ですから静寂そのもの。

 西大台は周遊して元に戻るコースで、入り口の分かれ道で左右どちらかの道を選ぶのですが、体調に自信がない自分は他の登山者の邪魔になることを懸念し、環境省のお勧めもあって皆さんが選択する反時計回りコースとは逆の時計回りコースを選択した結果、追い越されることは一度もなく、数度、逆コースの登山者と行き違うほかは終始、原生のままの静かな山の空気に耽溺することが出来ました。

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 大台ケ原は年4000ミリ以上という日本有数の多雨地帯であり、こうした恵まれた自然条件から見事な原生林が形成されています。最高峰の日出ヶ岳や大蛇嵓などの名所がある東大台は伊勢湾台風の被害とオーバーユース、それに鹿の食害で瀕死の状態まで破壊されてもう見る影もありませんが、厳格な保護の手が入った西大台はそこまでの破壊を何とかまぬかれ、今も往年の大台の雰囲気を残しています。写真はその一端、苔むす巨大な倒木や枯死木が点在し、豊かな生物多様性を支えていることが見て取れます。

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 森の中を、清流が網の目のように走っています。

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 紅葉を楽しむにはもう手遅れでしたし、天気もイマイチでしたが、こんな懐かしさがこみ上げるような森の風景がそこここにあり、非常に満たされた気持ちで今回の軽山行を終えました。

 で、ちょっと森林インストラクターらしく、今回確認した主な樹木の確認。西大台の植生は基本的に日本アルプスの亜高山帯に相当し、ブナ、ミズナラ、ウラジロモミ、トウヒ、ヒメシャラなどの高木層が優占する原生林で、これにオオモミジやオオイタヤメイゲツ、アサノハカエデなどのカエデ類やコシアブラ、リョウブなどが紅・黃葉しつつ亜高木層を形成し、ツツジ類が低木層を、さらに赤い実をつけたミヤマシキミが一部の林床を広く占有していました。一番最後の写真で林床は落ち葉で覆い尽くされて単調に見えますが、恐らく春になればカタクリやスミレ類などの春植物が一斉に芽吹いて賑やかになるはずです。また、その時期に、この豊かな森にやってきたいと思いました。

 このハイキングは、体調を確かめることも目的の一つで、肺でのガス交換が正常にできているかを測るパルスオキシメーターという器具を装着して歩きましたが、ちょっとした登りになると、いくら速度を落とし深呼吸を心掛けても、その値(正確にはSpO2といいます)がガクンと大幅に落ちてしまいます。自分の感覚ではこんなの息切れのうちに入らず、もっともっと窒息しそうに苦しい状態になっても、歯をくいしばって耐える感じでこれまで登山を続けてきたのですが、もしその時この器具で測っていたらきっと、見るも恐ろしい数値が出ていたと思います。ともあれ、もう、あまり厳しい山行はできないことを認めざるを得ませんでした。

 ・・けど、こんなことで落ち込まないのがコジローのコジローたるゆえんなのであって、下りだったら数値も正常、鼻歌交じりでホイホイ歩けるんだもんね。我が「紀峰山の会」のなかに「紀峰下山の会」なんてのを作って、樹木を観察しながらのんびり下るばっかの山行プラス温泉で痛飲って山旅を楽しむことにしようと思ったりしています。山頂にこだわりさえしなければ、富士山5合目から精進湖とか、立山室堂から美女平とか、工夫次第で下りのみで済む山行プランが次々に頭に浮かんだりするのでありますよ。そんな山行が実現したら、またここに報告したいと思います。



 11月2日、今は一応晴れていますが、明日は雨模様だそうです。肺生検により発症した肋間神経痛の痛みは取れませんが、だからといっていつまでもイジイジしているのもしゃくに障ります。そこで、森林インストラクター試験にも合格したことだし、試しに少しだけ山を歩いてみようと思いたちまして、国内で唯一入山制限が制度化されている西大台利用調整地区の入山許可を環境省に申請し、明日3日の日付で許可されたのですが、大丈夫かなあ。

 さて、それはさておき、阪急阪神ホテルズのレストランにおけるメニューの偽装表示が発覚して以後、全国の有名ホテルで相次いで明らかになった偽装表示の話題。プリンスホテルやリッツ・カールトンなんて、まあ、野宿ないし木賃宿専門のコジローは泊まったことないけど、そこそこ高級ブランドのホテルで次々に判明し、この種の偽装が相当広範にあることを示唆している。

 グルメも食通も別世界、腹さえ大きくなれば十分ってコジローの如き野蛮人には、この手の高級レストランにも全然縁はないので関係なんて無さそうなものなのだけれど、発火源である阪急阪神ホテルズの社長が最初の会見で、「偽装表示ではなく誤表示」と説明したことは見逃す訳にはいかない。不当な利益を得ようとの悪意があって行ったことでなく、知識や教育の不足、コミュニケーションの不備などから発生した「事故」といいたいのだろう。

 その後、相次いだ他のホテルなどの偽装表示についての説明でも、このスタンスは共通している。阪神阪急が厳しい批判にさらされたことから、先手を打って自主的に公表しないと、隠してもしバレたら致命傷になるとの「リスク管理」判断に加え、「赤信号みんなで渡れば」って計算も手伝っての横並び公表だったと思うが、例えば中華レストランで「芝エビ」などとしたメニューと異なり、単価の安いバナメイエビやホワイトタイガーを使っていたことが判明したルネッサンス・サッポロホテル(札幌市)は総支配人が「悪意ではなく認識不足」と釈明した。

 で、この共通する言い訳について思うことが2つ。ひとつは、悪意があっての偽装より、悪意がない間違いのほうが罪が軽いと、単純にいえるのかということ。そしてもうひとつは、ンなことあっけらかんと言っちゃって、この人達は恥ずかしくないのかということだ。

 儲けを増やそうと故意に原料を細工する表示偽装はたしかに悪質だが、少なくとも、原料についての知識がなければできない犯罪だ。一方、誤表示の方は、そもそも芝エビとバナメイエビの区別もつかない人たちがレストランを仕切っていたということになるぞ。そんな人やレストランが、代金をもらって人様に食事を提供する資格があるのか。

 わかりやすい例を挙げよう。安倍首相はIOC総会での東京プレゼンにおいて「福島原発事故はコントロールされており」「汚染水は完全にブロックされている」と断言したが、これが嘘であることは客観的に見て明らかだ。もし、オリンピックを東京に誘致するため手段を選ばないという立場から、原発事故の状況を把握した上での発言とすればこれは「偽装表示」に当たるが、マジで原発事故の現状をこのように考えているとすれば「誤表示」だ。偽装表示はもちろん許しがたいが、誤表示だったらもっと大変ではないか。原発事故の深刻な現状についての認識が本心で発言通りなら、この国は無知無能なリーダーのせいで大変なリスクを負うことになる。即刻辞めさせねばならない。

 話を戻すが、食材の区別ができなかったというのは、調理者には致命的な汚点だと思う。その汚点や無知をさらけ出した会見で、「恥ずかしい」とか「情けない」いう言葉がどうして出ないのだろう。
この人達のプロとしての誇りや矜持は、いったいどうなっているのだろう。

 コジローはかつて、当地の地方紙に通算1000本ばかり「天声人語」のようなコラムを書いたが、いちど慣用句の使い方を誤ったことがあった。世間でよくある用法の誤りで、それに引きづられたのだったが、それを読者からの手紙で指摘された時の、文字通り「顔から火が出る」ような恥の感覚は未だに記憶にしっかり焼き付いている。ただちにその次のコラムで訂正し謝罪したが、それからしばらくは顔を上げて街を歩くことができなかった。「穴があったら入りたい」というのは決して大げさな表現ではないと、つくづく思ったものだった。

 プロは誤ってはいけない。別に自分がそうだったからというわけではないが、そうした、職人的なプロの矜持というものは、かつてこの国の働く人々に共有されていた、普遍的で初歩的な職業倫理のようなものだった気がする。

 先日、有機食品の認証制度について海外の人と話をする機会があったが、その信頼性について説明しようとしたところ、「日本人は嘘つきませんから」とサラッと言われてハッとした。それは、先人たちが誠実に真面目な仕事を積み重ねて獲得してきた日本人全般への信頼であり、逆に言えばそうした愚直な真正さが国際社会で貴重なものであることを示している。

 しかし、ネオリベラリズムと総称されるグローバリズムにより金儲け至上主義が幅を利かせてくる中で職業倫理もグローバル化し、そうしたかつて日本人が共有していた仕事への矜持も失われつつあるのではないか。グルメ門外漢のコジローが今回のメニュー偽装表示を見逃せないのは、そこにこの国の職業観のなし崩しでの解体の兆候を見るからだ。失うものは大きく、問題の根は結構深い。