二日目は、一週間前に訪ねた管山寺を再び同じコースで訪問です。たった一週間の違いで山の新緑はますます鮮やかになる一方、イカリソウはもう受粉を終えたのか、すっかり姿を消していました。

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 その登山道で最初に見かけたのがこのヤブデマリ。ガマズミの仲間で渓流のそばなど湿ったところに良く生えます。園芸品種としてよく知られるコデマリは、このヤブデマリでまりを改良して作出したものです。

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 アズキナシの葉。平凡な葉で見分けにくいのですが、写真のように短枝に何年も葉がつくためその跡が積み重なって、象の足を思わせるシワになっているのがポイントです。その短枝からはだいた3枚ずつ葉が出ますが、同様の葉の出方はウラジロノキくらいしかなく、葉裏を見ればウラジロノキのように白くないことで識別できます。種名は、小豆のように小さくて梨に似た実をつけることから。

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 ユキザサ。この可憐な花が雪のように美しいことからの命名で、必ずしも雪国固有の笹という意味ではありません。だいたい、属するのもユリ科であってササですらありませんが、葉の形が笹に似るため、このような名前になったようです。

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 下山の途中で見つけたもの。切り株の上に食べたアカマツの球果の残りカスがありました。わざわざこんな切り株の上に持ち上げて食べるとは、ねずみなどに邪魔されることを嫌ったためでしょうか。興味は尽きませんが、このレストランで晩餐を楽しむリスたちの姿が目に見えるようでした。

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 一週間ぶりに再訪した管山寺の山門。前回とは一転して快晴の空のもと、一対の巨大ケヤキは今日も押し黙ったまま、訪れるものたちを見守っていました。


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 少し遅くなりましたが、5月10日と11日の両日、滋賀県北部の森林文化交流センター=ウッディパル余呉で近畿2府4県から50人の森林インストラクターと関係者を集めて開かれた研修会に参加した報告です。

 研修会といっても机上の講習はなく、二つの森林を歩いての観察と、雪深いこの地方の里山で長らく伝えられてきたイタヤカエデを使ったカゴ作りや、シナノキを利用した綱作りの技術を見学するアクティブな内容。和歌山から森林インストラクターを目指す人たちと貸切のマイクロバスに乗り合わせて参加しました。

 初日はトチノキの巨木の森を訪問。北から琵琶湖に注ぐ高時川の源流にあって、東北から日本海に沿って南下し連なるブナ林の最南西端に位置する森です。そこに成立していた小原という山村集落が薪炭材や生活用材、緑肥等の採取で活発に利用していた里山ですが、トチノキは実を採集する意図があって伐採を免れ、今日に至るまで大木が残されたようです。滋賀県が地権者と契約を交わして保存することとした巨木は118本。通常は山火事や盗伐を防ぐため入山が規制されていますが、今回は森林インストラクターの研修とあって特別に認められた入山でした。

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 トチの巨木までは標高差200mばかりを登らなくてはなりません。その最初に見かけたのがこのホウチャクソウ。先に「雄島の森」で紹介したナルコユリに似ていますが、ナルコユリが規則正しく列状に花をつけるのに対し、こちらは2~3個が束生していますので、花さえ咲いていれば同定は容易です。ホウチャクは「宝鐸」、つまり花を寺院建造物の屋根の四隅に吊り下げられた飾りに見立てての命名です。

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 ツノハシバミの葉。ツノハシバミはヘーゼルナッツの親戚筋で、秋にナッツとして食べられる角が生えた独特の実を付けます。その若葉には写真のようにシミのような模様が現れることが多く、これが種の同定を大いに助けてくれます。

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 ヤブレガサ。モミジガサと並んで薄暗い林床でよく見かける多年草で、名前はその姿から。覚えやすくていいけど、もう少しいい名前はなかったのでしょうか。

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 クマイチゴ。クマが出るような所に生えるという意味での命名ですが、実際には林道の脇程度のところでも見かけます。もう5月も半ばを過ぎましたから、まもなく食べられる実がなるはずです。

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 到達したトチの巨樹の森。この木は目通しの幹周りが4m超。ずっしりとした存在感があります。クマが実を取りに来たのでしょうか。幹には熊の爪跡が残っていました。

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 私の撮影技術ではなかなかスケールが表現できないのですが、先の木と同じくらいのトチノキの巨木が点在しています。鮮やかな新緑、ふんだんに光が差し込む爽快な5月の落葉広葉樹の森です。




 このあたりで、このブログに載せられる一回辺りのデータ量を超えたようなので、続きは次回に回します。
 5月5日、三日目は湖北、滋賀県長浜市にある管山寺の森です。菅原道真ゆかりの古刹なのですが、無住となって長く、かなり荒れていて、参拝する人も少ないのか、カーナビではヒットせず、ネットで検索してもどこにあるのか確かなデータがなく、アクセスするのも大変でした。結局、近所とおぼしき道の駅で地元のおじさんに聞いて、なんとか参道の登山口にたどり着くことができたのです。

 さて、この管山寺の森、来週末に開かれる森林インストラクターの近畿地区の研修で訪ねることになっています。実は、先のおじさんにお寺へのアクセスを尋ねた際、その研修で泊まるウッディパル余呉という施設からの道を案内されて、初めてそのことに気がつくというお粗末だったのですが、その研修で登山道を他の参加者とともにペースをあわせて登るのは自分には無理かもしれず、一緒に歩いて迷惑をかけるのもいやなので、先にその登山道を自分のペースで歩いてみるのも悪くないと思って登ることにしました。

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 参道に入ってすぐに見かけたのがオドリコソウ。最近は外来種のヒメオドリコソウが各地に蔓延してすっかり影が薄くなりましたが、こちらが日本の本家。ヒメオドリコソウに比べ遙かに大きく、見栄えがします。

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 次いで見かけたのがツクバネウツギの花。ツクバネは五弁のプロペラ状の萼片を伴う果実の姿が羽根突きのツクバネに似ることから。スイカズラ科のうち、ウツギの仲間はこのような筒状花を、初年枝の先に二輪ずつつける傾向があるようです。ただし、同じウツギの名前が付いていても、ユキノシタ科に属するものもあり、こちらはアジサイに似た花をつけます。

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 これがこの管山寺を訪ねた目的の木。登山口から300mほど登って峠を越え、反対側へ100mほど下ったところにこの山門があり、その前、両側に菅原道真お手植えと伝えられるケヤキの大木が二本、まるで仁王様のように並んで鎮座しています。雨模様のなか、無人の荒れ寺に佇立する巨木たち。彼らはこの寺とそれに関わった人々の栄枯盛衰をずっと見守ってきたのでしょう。巨木が醸し出す圧巻の迫力に加え、一抹の寂しさも感じさせられたことでした。

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 今は無住の寺ですが、一時はかなりの勢力を誇ったとか。これは宝蔵庫です。どんなお宝が眠っているのでしょうか。

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 護摩堂。なかなか雰囲気のある建物です。

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 鐘楼。鐘は重要文化財であるそうですが、ブルーシートが痛々しい。もう少し何とかならないものでしょうか。

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 鐘楼の側でそびえ立っていたアカガシの巨木。こちらも相当な迫力でした。そのほかにもスギやケヤキ、イチョウの大木が何本か観察できます。

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 雨が降りしきる中、帰り道で100mの坂を峠へ登り返しているときに見つけたイカリソウです。こちらは昨日見たトキワイカリソウではなく、葉を落とす方です。二つとも同時に確認できたのは非常にラッキーだったと思います。


5月4日、森林観察二日目は福井、滋賀、岐阜3県の県境付近にある夜叉ヶ池の森を訪ねるつもりでしたが

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 ごらんの通り、林道は途中で通行止め。毎年、雪崩で道が崩壊するため、その復旧が終わるまで入れないそうです。山開きは6月1日とか。

 ということで夜叉ヶ池はまたの機会の楽しみに取っておくとして、滋賀県最北端で福井県に接する山門(やまかど)水源の森に転進しました。ここは冬は豪雪の北陸型気候が支配する一方、夏は伊勢湾や瀬戸内海から暖かく湿潤な気流が入るため、寒地性と暖地性の植物が入り交じる多様性の高い森が形成されています。また、この山域の中央には湿原が広がっており、こうした立地条件も森林の多様性をますます高めています。

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 まず目を引いたのがこれ。イワナシというツツジの仲間の小低木で、もう花は終わって実がついていました。名のとおり、梨のような味がするとのことで食べてみたのですが、かすかに梨を思わせる味はするものの青臭く、まだ熟すには時間がかかりそうでした。

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 尾根道を登ってゆくとアカガシの純林となります。アカガシはカシの仲間の中では最も寒冷に耐えるのですが、それでも豪雪地にこれだけまとまって生えるのは珍しい。ただ、そのアカガシもスッキリと伸びた大木は少なく、写真のように株立ちしたものばかりです。これは、この山がかつて薪炭林として利用されていた名残で、当時の炭焼きさんたちがアカガシがまた再生するよう配慮して伐採したことを示しています。製炭が今も続いておれば、切り株から生えた萌芽を人為的に間引いて2~3本を大きく育てるように仕立てたはずですが、昭和30年代のエネルギー革命で製炭が産業として崩壊したため炭焼きさんも山から消えて間引かれることもなく、このような姿になったものと思われます。
 
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 さらに登ると、一転してブナを主役とする明るい落葉広葉樹の森となります。いまは、淡い緑色のブナの新緑が最も美しい季節でしょう。

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 森の木は写真になりにくいので、せめて樹皮の写真でも。これはナツツバキの樹皮。まだら模様が美しいです。

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 こちらはアカガシの老成木の樹皮。特徴のある剥がれ方がケヤキによく似ています。

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  これはクマシデの樹皮。アカシデもたくさん見かけましたが、シデの仲間は共通して老成すると独特の波打つ脈のような膨らみができます。

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 中央の湿地のそばでトキワイカリソウを見つけました。花が船の碇に似ているところからの命名で、これは年中葉があるためトキワ(常盤)のイカリソウ。ということは、普通のイカリソウもある道理で、葉を落とす種類のものは単にイカリソウと呼ばれています。今回は幸運にも、翌日、この普通のイカリソウにも出会うことができました。その報告は次に。

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 花をつけたコバノガマズミ。これも葉が小さいからコバノになるわけで、普通のガマズミもありますが、これは見かけず、その代わりにミヤマガマズミを見ることができました。

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 今回の森林観察での意外な収穫は湿原でちょうど花期を迎えていたミツガシワ。氷河時代からの遺存種といわれており、花弁が毛むくじゃらなのは寒冷適応だそうで、可憐な花なのですがついマンモスを連想してしまいます。尾瀬などの寒冷な高層湿原ではよく見ますが、こんな低地の湿原に群生するのは本当に珍しいと思います。

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 最後におまけ、アカハラの普通のイモリです。水がぬるんできたので気持ちが良いのでしょうか、浅い水の下でたくさんのイモリが活発に動きまわっていました。


 特発性間質性肺炎を発症して、森林限界を抜くような高山の登頂や、重荷を担いでの厳しい登山はドクターストップになってしまいましたが、実に幸運なことに、たまたま森林インストラクターの受験勉強をしっかりやったおかげで、自然を観察する基本的な知識を得ることができました。そこでそれを活用し、低山の森をウロウロして植物を観察する新たな趣味を見つけました。人間万事塞翁が馬なのですよね。

 昨年まで、ゴールデンウイークといえば、喜び勇んで雪山に出かけていたのですけれど、今年は私が所属する「紀峰山の会」の山仲間たちがいくつも計画を組んで白馬や槍に向かう計画の留守本部(遭難事故等に備えて山行計画ごとに指定を義務付けている緊急連絡先)を引き受けるくらいしかありません。しかし、せっかくの連休を留守本部だけというのはシャクなので、森歩きを会の正式の山行として登録し、三つの低山で森林観察を行ってきました。  

 まず5月3日に訪ねたのは福井県坂井市の雄島。観光名所の東尋坊の北にある、橋で陸地と繋がれた無人島で大湊神社が鎮座し、島全体が鎮守の森として守られてきたことから、見事な照葉樹の海洋性原生林が残されています。

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 雄島全景。正面の鳥居から階段を登ると大湊神社の社殿に出ます。そこから島の中腹を周遊する道をたどりました。

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 社殿にあったタブノキの堂々たる大木。タブは照葉樹林を代表する樹木ですが、海岸近くの人間が利用しやすい場所に生えていたためほとんどが伐採され、照葉樹林域にある和歌山でも今はほとんど見ることができません。まして、このような大木を見るのは初めてでしたが、この島には老成したタブの巨木が林立しており実に壮観でした。先に訪ねた綾の照葉樹林は内陸部にあるため、タブもなくはありませんでしたが、主役は圧倒的にイチイガシやシイ類で、こことはかなり様相が異なります。

 ついでですが、タブノキはコルク層が発達していて、触った感触が非常に優しい。どことなく、南国のおおらかさを感じさせる木なのです。

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 あまり良い写真が撮れなかったのですが、社殿を出てタブノキの巨木林をたどると林床にはちょうど開花期を迎えたウラシマソウが多く見られました。ウラシマソウは天南星(てんなんしょう)の一族で、花に見える仏炎苞内の肉穂(にくすい)花序から長く伸びた付属体を浦島太郎の釣り糸に見立ててこの名前が付いたとか。ちなみに肉穂花序とは、ミズバショウの中心に見られる棒状の物で、あれがこのウラシマソウの仏炎苞の中に隠れているわけです。

 さて、天南星族の生態は実に興味深いものです。天南星の仲間はすべて雌雄異株ですが、発生してしばらくは性別はなく、少し成長するとまず雄株になり、さらに成熟して雌株となります。子孫を残す、植物でいうと種子を作るのはやはり相当エネルギーを消耗する大変な作業のようで、成熟して根茎にかなり栄養分を蓄えないと雌株にはなれないのだと考えられています。
 
 また、受粉の仕組みも面白い。天南星族の受粉を媒介するのはハエやハナアブなどですが、蜜を求めて雄株の仏炎苞から中に入った虫は上に戻ることができない仕組みになっていて、下へ下へと誘い込まれて花粉まみれになり、巻きスカートのようになっている仏炎苞の最下部の隙間から、ようやく全身に花粉をまとって脱出することができます。

 そして次に雌株の仏炎苞に入ってくれれば、天南星側にとってはめでたく受粉成立なのですが、雌株の巻きスカートの最下部は閉じられていて脱出することはできません。つまり、受粉の役割を終えた昆虫はそこに閉じ込められて死ぬしかないのです。今回のウラシマソウは若いのでまだありませんでしたが、以前、同じ天南星族であるマムシグサの雌株を切り開いて調べてみたところ、数匹のハエが息絶えていました。 ん~、やっぱ、植物であってもメスは恐ろしい。(^_^;) ま、冗談はさておき、こうした植物と動物の関係を見ていると、やはり地球の主役は植物なのだという気がしてきます。

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 林を抜けると明るい草原状となり、そこここにナルコユリがひっそりと花をつけていました。よく似たアマドコロとは、花の基部に短い柄があることで区別できます。


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 島を半周するとまた照葉樹の森となりますが、北側はヤブニッケイの純林となります。ヤブニッケイに限りませんが、照葉樹の森を人間の目線の高さから樹冠部にかけて見ると、このように木の幹が複雑に錯綜した、なんというか、暑苦しい雰囲気です。

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 が、中に入ってみると、こんな感じ。下の方は結構すいているのですね。写真にはうまく撮れなかったのですが、森の中から見上げると、縦横に発達した枝と常緑の葉が空を分け合うようにモザイク模様を描いています。実に生命力に満ちた森なのです。

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 最後は和歌山ゆかりのキノクニスゲ。やはり照葉樹林でよく見かける下層植生で、雄島が分布の北限になるそうです。花は終わっていましたが、よく似たヤブランと混生していました。ちなみに葉の断面がM字になるのがキノクニスゲ、V字になるのがヤブランで、触れればすぐに識別できます。


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 先日、綾町の照葉樹林を訪ねたついでに、少し足を延ばして鹿児島県姶良市蒲生町の蒲生八幡神社のクスノキを見に行きました。かねて一度はお目にかかりたいと念願していた日本一の巨樹ですが、ご覧の通り、言葉を失うような圧巻の迫力。高さ約30メートル、胸高径(地上から1.3メートルの高さでの幹周)24.2メートルで、根回り33.5メートル、幹の中には広さ約13平方メートル(畳8畳分)の空洞があり、樹齢は約1500年と推定されています。

 一時は樹勢が衰えた時期もあったそうですが、手厚い手当の甲斐あって、このようにすべての枝から若々しい新緑を見事に萌えたたせていました。生命の偉大さに素直に頭が下がります。



 
 先の週末、有機農業の町として有名な宮崎県綾町を訪ねる機会があり、それとあわせて念願だった綾の照葉樹林を訪ねることができた。

 照葉樹林はクスノキやシイ・カシ類、ヤブツバキなどに代表される常緑広葉樹の森で、ヒマラヤ山麓から揚子江中下流域を経て海を渡り、台湾、沖縄、九州から南東北の海岸域までを覆う本来の植生であり、そこに照葉樹林文化と名づけられた共通する文化が成立したことで知られる。共通する文化要素としては、根栽類の水さらし利用、絹、焼畑農業、陸稲の栽培、モチ食、麹酒、納豆など発酵食品の利用などが挙げられている。日本人のルーツを解明する上で興味深い仮説であり、ブータンの探検で知られる中尾佐助や、「イネの来た道」をこのルートに追求した佐々木高明ら、知的刺激に満ちた論考は、読むたびに大きな興奮を与えられたことを思い出す。

 しかし、日本における照葉樹林は人間が最も暮らしやすい場所に分布していたため、その大半が伐採されて農地や都市に変換され、各地の神社の鎮守の森などを例外として、もうほとんど残っていない。綾町には、その貴重な照葉樹林がまだ千ヘクタールのオーダーで残されている。ちなみにユネスコの生物圏保護区に指定された照葉樹林の面積は、約700ヘクタールの核心地域を中心に緩衝地域、移行地域を含め2市2町1村にまたがる約14500ヘクタールに及ぶ。

 その貴重な綾町の照葉樹林を、この森を守り復元させる活動を展開する「てるはの森の会」のガイドさんの案内で半日に渡り、見学させてもらった。



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 綾町の入り口にかけられた看板

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 綾の大吊り橋から見た照葉樹林。モコモコしていてブロッコリーが集まったようにみえる。
 シイとカシの花が満開の今が最高の季節だ。

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 クマガイソウ

 森の見学なのだから樹木を載せるべきなのだが、樹木、特に大木は写真にならないんだよねえ。(^_^;)

 で、草花の写真にならざるをえないのだけれど、これはクマガイソウ。図鑑で何度も見て、いつか現物を見たいものと思っていたのだが、今回こうして初めて見ることができた。名前は源氏の武将、熊谷直実(なおざね)に由来する。騎馬武者は後ろからの弓矢の攻撃を防ぐため、母衣(ほろ)という袋状の防具を背負っていたのだが、この花を熊谷直実がまとった母衣に見立てたわけだ。

 その熊谷直実は一の谷の合戦で逃げようとする平家の若武者を追い、捕えてその若さに我が息子を思って殺害をためらうが、直実に討たれることを望む若武者の言を受けて泣く泣く首を取る。その若武者こそ横笛の名手として知られた平敦盛17歳だった。平家物語の山場の一つだが、この敦盛にちなむアツモリソウという花もあって、やはり袋状で、こちらは敦盛の母衣にちなんだものだ。

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 コバノタツナミソウ
 葉が小さく、花が一方向に並んで咲くことから立浪草と名付けられた。
 別名ビロードタツナミ、触れるとビロードの様な柔らかい感触がある。