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鏡のような白馬大池と小蓮華岳倒影。
まさに、「これぞ夏山!」というべき絶景。 三日間、梅雨末期の悪天に祟られ続けて迎えた下山日の朝、山はとっておきの笑顔を見せてくれました。だから病気だろうと、山はやめられません。

この連休、3泊4日をかけて白馬連峰の山麓を歩き回ってきました。
病気のため肺に負担がかかる厳しい運動は厳禁、空気が薄くなる高地での滞在も控えなくてはなりませんが、だからといって街でじっとしているなんてできる性分ではありません。医師とも相談し、できるだけ身体の負担にならないよう配慮しながら山を楽しめるよう、以下のような登山計画を立てました。ロープウエイやリフトを全面的に利用し、肺に負担がかかる上りは極力避けつつ、今が盛りの高山植物をたっぷり楽しめるルートです。

 初日:和歌山→五竜スキー場ゴンドラ・テレキャビン利用
     →五竜岳高山植物園見学→下山
     →八方尾根黒菱平からリフト乗り継ぎ→八方池山荘(泊)

 2日目:八方池山荘→八方池→下山→岩岳ゴンドラノア利用
     →ねずこの森見学→下山
     →栂池ゴンドライブ利用→栂池ヒュッテ(泊)

 3日目:栂池ヒュッテ→天狗原→白馬乗鞍岳→白馬大池山荘(泊)

 4日目:白馬大池山荘→白馬乗鞍岳→天狗原
     →栂池自然園→下山→和歌山

天気図を見れば、梅雨末期とあって梅雨前線がちょうど新潟県あたりにかかって停滞している状態。予報では日本中晴れ渡りつつこの周辺だけが雨という情けなさで、行って3日間はまったく展望に恵まれませんでしたが、高山の花は期待を裏切らない豊かさでした。4日間で確認できた花はざっと50種、満タンにしてきたカメラのバッテリーが切れるまで300枚近く撮影しましたが、その一部を以下にご紹介します。

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ウラジロヨウラク
漢字で書けば裏白瓔珞、瓔珞は仏壇や僧の衣類に付けるチャラチャラした感じの装飾具のことで、この釣鐘状のかわいい花がたくさんつく様子を表現しています。

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タカネバラ
鮮やかな大きな花です。山霧に包まれて視界が効かない八方尾根の稜線でみかけました。

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イブキジャコウソウ
ジャコウは麝香で、雄のジャコウジカの腹部にある香嚢(ジャコウ腺)から得られる分泌物を乾燥した香料のことです。といって、どんな香りがするのか知らないのですけれど、葉っぱを手でもむと、何とも表現しがたい良い香りがします。

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ノウゴウイチゴ
ノウゴウは岐阜県の能郷の地名から。栽培して食用にするオランダイチゴの近縁種ですから、美味しいのは間違いないのですが、さて、国立公園のイチゴ、やっぱ食べてはいかんのでしょうね。

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ヤマルリトラノオ
ゴマノハグサ科の多年草で、日本固有種です。

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ミヤマダイモンジソウ
5枚の花弁の長さが不ぞろいで、大文字焼の大の字に似ているところから大文字草と名づけられました。ユキノシタ科と聞けばすぐに納得できる花の形です。

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イワイチョウ
葉の形がイチョウに似るところからの命名。湿った草原に多く分布する珍しくもない花ですが、マクロレンズで見るとこの通り。花弁一つ一つに三筋のくぼみを入れ、フリルで飾ってなかなかおしゃれです。

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イワカガミ、より正確にはコイワカガミ
葉が光沢を帯びているところを鏡に見立てての命名。標高の低いところから高山まで広い範囲でみられますが、高山のものをコイワカガミ、低山のものは葉がお椀状に大きくなるところから、オオイワカガミとして区別することもあります。

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キバナノコマノツメ
写真ではわかりにくいのですが葉は横広の円形で、これを馬(=駒)の蹄(ひづめ)に例えてこの名前になりました。

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ミヤマコゴメグサ
コゴメは小米で、米粒のように小さな花という意味です。岩稜帯に咲くかわいい花ですが、最初にこの花を見たときは、グローブや子供の弁当に入れたタコ型ウインナーを連想しました。

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コケモモ
小さな葉がびっしりついた状態をコケに、真っ赤な実を桃に見立てての名前です。栽培品種は実際にジャムに加工されたりタルトに使われたりします。

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ハクサンシャクナゲ
花が白ければハクサンシャクナゲと思ってまず間違いないですが、咲き始めはピンクです。この山旅では他にキバナシャクナゲも見かけました。

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タテヤマリンドウ
良く似たミヤマリンドウとは、茎への葉のつき方で識別します。葉が茎を柔らかく抱く感じなのがタテヤマリンドウ、茎から離れて開いていればミヤマリンドウです。また、タテヤマリンドウの花には黒い点や線が見られますが、ミヤマリンドウには透かし模様のようなものがあり、いずれもお天気の良い日は大きく花を開いて、草原に星をばらまいたように見えます。

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アオノツガザクラ
ハイマツの周辺などでよく見かけますが、今回は小蓮華に上る登山道でわずかに目撃したのみ。親戚のツガザクラのほうがたくさん見かけました。

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ワタスゲの果穂(マクロ)
湿原に分布する多年草です。花はネコジャラシを小さく、そして焦げ茶色にしたような感じでぜんぜん冴えませんが、綿毛を付けた実になると、がぜん湿原の主役に躍り出ます。

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ハクサンチドリ
たくさんの花がついていますが、そのひとつひとつを千鳥に見立てての命名です。湿ったところに多く、鮮やかな色で非常に目立ちます。

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白馬大池の夜明け。
最後に再度、少しばかり風景写真。
待ちかねた雲ひとつない快晴の朝でした。お花畑の向こうに、控えめですがモルゲンロート(朝焼けに染まること)の雪渓が見えます。

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白馬乗鞍岳から、ハイマツの向こうに白馬岳を望む。

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素晴らしい笑顔を見せてくれた山ともお別れ。
振り返れば、静かな白馬大池とそれに寄り添う白馬大池山荘の向こうに、雪倉岳と雲海が広がっていました。
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