DSCF3055.jpg
 7月27日(日)の午後、雨上がりの立山室堂です。
 お花畑の向こうに見えるのは富士の折立から真砂岳に至る立山連峰の主稜線。

 その前々日の7月25日から三日間、とやま森林インストラクター会に案内をお願いして一日に一つずつ、同会が訪問を勧める三つの森をめぐってきました。

 初日の25日は富山県砺波市の頼成(らんじょう)の森。いまから45年ほど前にここで全国植樹祭が開かれたことを記念して整備された総面積115ヘクタールに及ぶ森林公園で、富山県の林業を代表する立山杉、ボカ杉、増山杉の三種の杉の標本園が整備され、日本一を自称する花菖蒲園が整備されているほかは、基本的に里山の風情を残すことを意識して整備された森です。

 案内してくださったのはとやま森林インストラクター会代表のTさん。9時に待ち合わせて、まず園内の森林科学館で館長さんから頼成の森の概略について説明を受けたあと、午後2時過ぎまで森の中をゆっくり歩きながら丁寧な解説を伺いました。
 
 最高点でも標高200mに満たない平地の森であり、雪国らしい特徴もありはしますが、基本的な植生は和歌山の森とあまり差はないことを、興味深く観察しました。しかし、そうした植生もさりながら、驚いたのはキノコの多さ。菌類であるキノコは生存に必要な栄養を植物など他の有機物に頼っているため、光合成が最も盛んな今の時期は菌類も元気でキノコ発生の一つのピークになるのですが、それにしても多い。一歩ごとに新しいキノコが見つかるところもあるほどで、森の中を一巡するだけで30種以上のキノコを見つけることができました。

 ですが、植物を覚えるだけで精一杯の駆け出し森林インストラクターとしては、キノコまでは手が回りかね、同定など思いもよらない。だいたい、キノコの種数は植物よりはるかに多く、いまだに名前すら付いていないものもどっさりあるというのですから、現状では手も足も出ません。で、まあ、見つけたキノコの数だけ撮った写真のうちからいくつか紹介。もし、名前をご存知の方がおられましたら、ご教示くださるとありがたいです。

DSCF2932.jpg

DSCF2933.jpg

DSCF2952.jpg

DSCF2977.jpg
 すわ!、猛毒のカエンタケでは… と思いましたが、あれはたしか真っ赤でしたよね。まあ、その仲間だと思いますが。

DSCF2964.jpg
 こちらは、欧米で「死の天使」(Destroying Angel)の異名で呼ばれる猛毒No1のドクツルタケか、もしくはそれに似るというタマゴテングタケでは? と思ったのですが、それにしてはちょっと巨大すぎるような。ご覧のとおり、傘はカレー皿くらいありました。

DSCF2982.jpg
 二日目の26日は、有峰湖周辺の森。ご案内くださったのは、この森や有峰林道の管理にあたっておられたというIさん。Iさんはもちろん森林インストラクターなのですが、蝶の専門家でもあって、植物よりどちらかというとこちらの説明の方が力が入ります。標高1200mほどの山地帯の森をゆっくり歩きながら、遠くからめざとく蝶を見つけては解説してくださいました。素人には目にも止まらないはずですが、やはり専門家というのは違うものですね。森の中にこんなに多くの蝶が潜んでいることを知ったのは、得難い経験でした。

 が、蝶はなんたって動きますので、なかなか写真が…(^_^;) ちょっとピンボケ気味ですが、やっとのことで一枚だけ撮れたのが上の写真。ヒョウモンチョウの一種、ミドリヒョウモンだと思います。

DSCF3002.jpg
 宿舎は気楽な車中泊。この日は有峰湖畔をめぐる林道が岐阜県側に抜けてゆく(ただし現状は通行禁止)大多和峠に車を停めて一夜を過ごしました。気持ちのいい芝生が広がり、真正面に重厚な山容の薬師岳を望みます。

DSCF2999.jpg
 その薬師岳を赤く染めるアーベンロート(夕焼けを受けた輝き)
 芝生の上にマットを広げ、ウイスキーの水割りを飲みながら、山が染まり、空が染まり、そして夜の帳(とばり)が降りて満天の星が輝くまで、飽きず眺め続けていました。

 明けて三日目の27日は、初日に頼成の森をご案内くださったTさんが代表を務めるNPOの定例行事に便乗させてもらって、貸切バスで立山美女平の森と室堂の高山植物観察です。 …が、夜明け頃から大雨。立山杉の巨木をめぐる美女平の森歩きはバケツをひっくり返したような土砂降りの中となって、立山杉の巨木林は確かに圧巻ではあったのですが、とても写真どころではありませんでした。

 美女平の森林観察を終えて全員ずぶ濡れでチャーターバスに再び乗り込んだものの、雨と濃霧の中のドライブとなって、楽しみにしていた車窓からの大日岳や劔岳の勇姿など望むべくもなく、もしや標高2400mの室堂まで行けば雲を突き抜けるかも…との期待も裏切られて室堂もやはりガスと雨。 やむを得ずしばらく立山自然保護センターで時間を潰して、小雨になった室堂平に出てゆきました。メンバーは総勢16人だったかな。

 しかし、室堂はいつになく花が少ない。これには頻繁に室堂を歩いている案内役のKさんも戸惑い気味です。というわけで、高山植物の観察もあまりパッとはしなかったのですけれど、とりあえず何枚かは撮影しました。

DSCF3021.jpg
 ヨツバシオガマの単花のクローズアップ。シオガマの仲間の花は二唇形といって、上下二枚の花弁で構成されているのですがそのうち上唇がこの形、鶴の嘴のように下向きに尖っているのがヨツバシオガマの特徴です。

DSCF3030.jpg
 マクロレンズでクローズアップを撮るのは楽しいのですが、困るのは全体像がわからないので、ときどき後で何を撮影したのかわからなくなること。(^_^;) 
 これは、たぶん、ミヤマコウゾリナのクローズアップだと思うのですが… ちなみにコウゾリナは顔剃り菜からで、茎に毛が密生してザラザラしていることをカミソリに例えたものです。カンチコウゾリナという類似種とは、葉のつき方で区別することができます。

DSCF3023.jpg
 ウサギギク。なぜこの名前が付いたのか、諸説あるのですが、舌状花(花弁に見える部分)の先端が割れているところをうさぎの耳に例えたというのが、最も説得力があるのではないかと、個人的には思っています。

DSCF3045.jpg
 シナノキンバイ。キンバイは金の盃からです。高山のお花畑でひときわ目立つ見事な大輪の花です。

 …と、乏しい高山植物を同定しながら歩いていると、いつのまにか霧も晴れて、青空が覗いてきましたが、無常にもここで時間切れ。
 後ろ髪を引かれるような…とは、このことですが仕方がありません。バスに乗り込む前に慌てて冒頭の写真や以下の写真を撮って下山しました。 ま、山は逃げませんから、また天気の良い時に出直したいと思います。

DSCF3060.jpg
 濃紺の空が広がり、雲間から顔を覗かせた立山の主峰、雄山です。


関連記事
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://yamatomori.blog.fc2.com/tb.php/120-ad449280