明日、衆院選が公示される。安倍晋三という世界でも類を見ない最低最悪な政治家の、「今ならまだ勝てそう」という私利私略からの解散には一片の大義もないが、ともあれ国民には審判の機会がめぐってきたわけで、売られたケンカは買うしかない。全力を尽くして、これまで二年間、憲法無視の暴挙、民主主義否定の暴走を重ねてきた安倍内閣に正義の鉄槌を下す選挙にしたいと思う。

 しかし、それにしても・・と思うのは、この選挙の争点をめぐる国民意識だ。今日の朝日に掲載された世論調査によれば、投票で重視する政策は「景気雇用対策」が47%で最も多く、次いで「国会議員の定数削減」が33%、「子育て支援・女性の活躍」30%、「消費税の引き上げ延期」29%と続き、「原発再稼働」は15%、「集団的自衛権の行使容認」は12%と低い。

 政治とカネの問題も辺野古も特定秘密法もない設問にある種の恣意性も感じるのだがそれはさておき、この結果だけを見れば、この国の人びとはこの国の若者が米国の戦争に駆り出されて死のうが、原発事故でふるさとを半永久的に失おうが、そんな将来の恐れより目の前のカネの方が大事と考えていることになる。だからこそ、安倍はアベノミクスの幻影が残るうちの選挙なら勝てるとタカをくくっているわけだ。これは安倍らが、有権者を「朝三暮四」の故事で騙されるサルと同レベルと見下していることを示している。

 もちろん、この設問が二択だったという点は見ておかねばならない。集団的自衛権を第1の争点と考えた人が第2の争点に景気雇用を選べば、いずれもがカウントされるから、広く関心が共有されそうな景気雇用が比較上位に来ることは当然かもしれない。また、それほど現在の景気・雇用環境が悪いということもあるだろう。だがそれにしても、時の政権への評価や望ましい政治への選択が、いつもこのように実利的な面ばかり突出して評価軸となるようなことで良いのだろうか。

 周知のとおり、国会で歴史的な圧倒的な多数を占めてやりたい放題の安倍晋三が、議席減の可能性が高い総選挙にあえて打って出たのは、7~9月のGDP成長率が予想外に低くアベノミクスなる異様な政策の破たんが見え始めたからだ。 「今を逃せば大敗するかもしれない」と急きょ解散に走ったのは、それほどまで世論の変化を恐れ、追いつめられていたことを示している。

 だが、かくのごとく安倍首相を追い詰めた世論の変化は、集団的自衛権や特定秘密保護法への批判でも、公約違反のTPP交渉参加やなし崩しの原発再稼働への怒りでもなく、単なるGDP成長率の速報値をめぐる落胆でしかなかった。安倍は支配者の本能で、この国の有権者が何にいちばん敏感に反応するかをよく知っていたのかもしれない。

 残念だが、そうした意味では、この国の有権者の現時点の政治センスと自公政権の志向性はよく一致している。この国の有権者の多数派は今のところ、集団的自衛権だの特定秘密法だのは確かに危なそうだがまあそう切実な問題ではなく、一方絵に描いた餅であっても金なり仕事なり将来の自分への利益分配さえ示してくれるなら、とりあえず現状を肯定してくれるのだ。国家権力にとりこれほど御しやすい主権者はあるまい。

 だとすれば、集団的自衛権等で筋道立てた批判をしてゆくことはもちろん重要だとしても、それを争点にして勝てる道理はない。今必要なのは、アベノミクスなるものが富者をより富ませる一方で貧困層をさらなる生活苦に追いやるシステムであるということ、トリクルダウンなどといって大企業がもうかればそのおこぼれが下にも落ちてくるというが、それは真赤なウソであって「私たち」庶民は搾り取られ食い物にされる一方であることを、実態に即し徹底的に暴露すること。そして、アベノミクスを通じ大企業や富裕層に蓄積された富は「あなたたち」貧者から搾り取ったものであり、これら富裕層への適切な課税によりそれを奪い返すことで貧困をなくし、消費税の値上げも回避できることを具体的に粘り強く説明してゆくことだ。

 現在の政党状況からは自公政権の転覆は難しそうに見える。しかし、大半の有権者はアベノミクスの恩恵など感じていないのだから、安倍晋三の政権基盤だって盤石ではないのだ。このうえ安倍が見せている絵が嘘っぱちで、これまで騙されていたこと、さらにこれから先も分配など一切ないことがわかったら、地殻変動が起こる可能性は十分ある。せっかくの機会だ、無駄に過ごさないようにしたい。 


     
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