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 さて、25日、先週の土曜日は、大和葛城山にカタクリを見に行ってきました。

 カタクリは一年の大半を落葉広葉樹林の土中で過ごし、雪が融けると同時、まだ落葉樹の葉が開かず十分に受光できるわずかな期間に葉を展開して懸命に光合成に励み、花を付け、受粉して種を実らせると地上部は枯れ果てて、落葉樹の葉が茂り始める頃には、また長い地中での生活に戻ってしまいます。福寿草やショウジョウバカマ、多くのスミレなど、このような生活史を展開する植物のことをスプリング・エフェメラルつまり「春の儚(はかな)さ」と呼びますが、本当に春の妖精を連想させるような可憐な趣があります。

 ついでですが、エフェメラルは蜉蝣(カゲロウ)の訳語でもあります。カゲロウも羽化してからの命は一日しかありません。その間に交尾を終え慌ただしく子孫に未来を託して命を終えてゆくのです。そのため、成虫には消化器も口すらもありません。こちらも実に儚い命で、それはカタクリなどと共通していますね。でも、彼らはそれでこの厳しい自然淘汰を生き延びてきたのですから、儚いというのは、人間の勝手な思い入れに過ぎないのかもしれません。

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カタクリは、頂上西側の自然研究路から尾根筋に開かれた縦走路いわゆるダイヤモンドトレールに沿って咲いています。

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 ミツバツツジも満開でした。

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 このあたりはかつて薪炭林として盛んに利用されたあと放置された二次林で、高木層を構成する樹種はまずコナラ、次いでリョウブ、イロハカエデなどです。また低木層はミツバツツジやクロモジが中心で、林床をネザサが覆っています。つまり薪炭林時代からの人間の収奪が激しかったため土壌が痩せ、近畿の標高1000mレベルの極相林をなすブナ・スズタケ群落が回復していません。しかし、人手が入らなくなって時間が経過したため土壌の肥沃度も回復傾向にあると見えて徐々に遷移が進み始めており、こうしてブナの幼木を発見することができました。

 地球温暖化という別の人為的干渉がブナの将来に暗雲を投げかけていますが、このまま気候が安定していれば、まさに「自然」に、ここはブナ・スズタケ林に回復してゆくはずです。

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 ダイヤモンドトレールの道端で見つけたカタクリです。

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 大和葛城山の頂上は禿山です。

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 ミヤマキケマン。一応、高山植物ということになっていますが、低地でも結構見かけます。綺麗な株がなかったので撮影はしませんでしたが、同じ花の形で紫色のムラサキケマンもありました。ちなみにケマンは華鬘で、お堂の梁などからぶら下げる仏具のことです。キケマンは黄色の華鬘ということですね。ついでながら、黄色でもムラサキでもない単なる「ケマンソウ」の赤い花は、全然違うハート型をしています。
 
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 櫛羅(くじら)の滝コースを下山。頂上の南東側になりますが、この一角には立派なブナがあり、その林床をスズタケがカバーしていました。若々しい新緑が美しく、目が洗われるようです。

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 クサイチゴ。今年はイチゴの当たり年というか、とてもたくさん咲いていました。5月中旬頃に結実、酸味は強いですが美味しいです。

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 イカリソウ。杉林の林床にひと株だけ咲いていました。

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 ガマズミ。まだ咲き始めです。

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 今回、最後に見たのがウワミズザクラ。ブラシのような白い花序が特徴で、花の付く小枝(花序枝といいます)に葉があることで、よく似たイヌザクラと見分けます。ウワミズは大昔の亀甲占いで使用された溝を掘った板のことだそうです。

 本当に滴るような新緑が美しい季節です。厳しい山登りはもうできないのですが、せめてこの新緑に少しでも多く接することができるよう、機会を見つけては森に出かけようと思います。




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