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 昨日4日夜、韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦像が設置されたことへの対抗措置として、安倍内閣が一時帰国させていた長嶺駐韓国大使が約3か月ぶりに帰任した。もう重ね重ねだが、安倍内閣の無能ぶりというかガキぶりにはつくづく呆れ果てる。韓国側に問題がないとは言わない。だが何があったにせよ、大使を召喚するなどという、外交関係を長期に損ないかねないリスクの高い手法に訴えるのであれば、当然のことながら事態収拾への見通しや、そのための外交折衝などの目算が立っていなければならない。

 だが、この安倍晋三ボンボンとそのイエスマンだけで構成されたガキ内閣に、そんな見通しなどあったようには思えない。単に頭に血が上って、腹立ち紛れに考えられる限りで最大の強硬措置を取っただけだ。で、思うのだが、日本がこんな強硬な態度を示せば、韓国の官民は水戸黄門の印籠を見せられたごとく恐れ入って平伏するとでも思っていたのだろうか。結果は、韓国側は朴大統領の罷免をめぐる大騒ぎもあってそれどころでなく、まあ日本の駐韓国大使などいてもいなくても関係ないという身も蓋もない外交実態が明らかになっただけ。で、振り上げた拳のやり場に困り、何の成果もなくしれっと大使を戻したというのが昨日の措置だ。

 冷静な情勢分析もそれに基づく理詰めの戦略や戦術もなく、まして最悪の状況を想定しての事態収拾への考慮もなく、ただ怒りに任せて行動する。それは頭の悪さと自信のなさの表れにほかならないが、それこそが安倍晋三の実像だ。森友学園問題でそれまで拒んでいた民間人の国会への参考人招致を、鴨池氏が安倍サイドからの寄付を口にしたとたん激昂して参考人どころか証人に格上げて国会に招致したものの、その証人喚問では籠池氏を呼んで何を質すかの作戦すらなかったことが明らかになった。この策もなく激昂して行動する無能ぶり、暴支膺懲(ぼうしようちょう)といい鬼畜米英を叫んで開戦し、この国を破滅させた歴史を彷彿とさせるものがある。A級戦犯の祖父から受け継いだDNAというべきか。

 さて、歴史の話題が出たところで、久しぶりに明治維新の話の続きだ。明治維新政府は日本の資本主義化を上から急速に進める政策を推し進めていたが、その煽りで特権を失った氏族層や地租改正による「日本型原始的蓄積」により窮乏化する農村では不満が鬱積、さらにこれを顧みない政府官僚の腐敗が負け組の怨念を増幅させていた。

 このとき維新最大の功臣であった西郷隆盛は政府を去ってすでに下野していた。西郷の下野について、日本史の教科書では「征韓論に破れ」というストーリーが必ず出てくるのだが、よく誤解されるように西郷が好戦的な韓国征伐を主張し、それに反対する勢力に敗れたというのではあたらない。深入りする余裕はないのだが、先進国による植民地支配が当たり前だった当時、西欧列強に追いつこうとしていた日本として、まず隣の朝鮮半島に食指を伸ばすべしというのは西郷を含め明治政府首脳部の共通認識であり、現に西郷が下野して直後の江華島事件で朝鮮半島進出への橋頭堡を確保している。西郷の主張は、日本からの開国の呼び掛けを断る韓国攘夷派に対し自ら使者として赴き説得することにあった。だがその主張は退けられ、ではもう自分には果たすべき役割はないと西郷は鹿児島に帰ってしまったのだった。

 だが、西郷の帰郷にはもとより予定の行動という意味もあった。西郷は薩摩藩から二度にわたり島流しの憂き目に遭っているが(ただし一度目は処分に見せて藩が幕府から西郷を匿った面もある)、奄美大島での農民としての暮らしは西郷の気に入ったようで、藩からの呼び出しを受けて江戸末期の動乱に加わるため島を出る際に、用が終わればそこに戻る旨を告げている。もともと農業農民への愛着は、藩の過酷な農政に異を唱えて辞職する気骨の上司に導かれ、郡方書役助という農政末端から藩士としての歩みを始めた西郷にとり、心中深く根付く思いだった。

 西郷は直接島に帰ることはなかったが鹿児島に戻って私塾を開く一方、自分自身は半分隠居したような生活を送る。その塾生たちが西南戦争では西郷の軍となるのだから、結果としては武装蜂起の準備をしていたと考えることも可能なのだが、当時の青年層の教育に軍事教練は当たり前の教程だったのだから、そのあたりの評価は微妙ではないかと思う。ただ西郷が中央の政官界と完全に縁を切っていたことは事実だ。一方、朝鮮出兵が遠のいたことで特技である武術を活かしての再就職の希望が絶たれた不平士族は各地で騒乱を起こし、また重税に反発する農民の蜂起もあって、まだ安定するに至らない維新政府の足元はおぼつかなくなってきていた。(続く)



 今日の絵は「法隆寺」。後藤純男氏の日本画の模写です。用紙はウオーターフォードF6

170322 法隆寺 (2)サイズ



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