昨日3日、小池百合子東京都知事が「都民ファーストの会」の代表職を同日付けで辞任する意向を明らかにした。同会が地すべり的に圧勝した都議選の最終結果が出てまだ半日たつかたたないかという時点での表明だ。「ええ?それはないだろう!」って、どうして誰ももっと騒がないのだろう。

 この時点まで、離党届を提出したと言うが手続きは終わっておらず、小池氏はずっと自民党員のままだった。その自民党員の状態で「都民ファーストの会」を立ち上げ、選挙が近づくと代表に就任し、終わったとたん身を引く、ってあまりにも無責任ではないのか。代表に就任した当初から、票寄せパンダ以上の役割を果たす気はなかったってことではないか。だがこれこそが昨日書いたばかりの小池氏のポピュリズムとマキャベリズムが合体した行動原理に基づく合理的な判断なのだ。

 マキャベリストとしての小池氏には都議会を服従させられるだけの数量の都議集団が必要だった。そして選挙を通じその集団を実現させる武器はメディアを通じて作り上げた自分個人の人気以外にないことを、ポピュリストとしての小池は知り抜いている。それが代表就任のココロだが、選挙が終われば政治団体の代表であることは自らの言動を縛る障害になるし、いまの自民党のごとく都民ファの議員に不祥事が出ればその責任も負わされかねない。そんな面倒なものとは今のうちに手を切って、国政進出の野望を含めフリーハンドを確保したいというのがマキャベリスト小池の考え方なのである。

 だが、違法ではなくても政治的道義的にそんな身勝手を許していいのか。都議選前、都民ファは小池知事が発言するまで、重要争点の一つであった築地市場の豊洲移転問題についてすら何ひとつ意味のあることを語ることができなかった。朝日新聞が投票前に行った候補者アンケートでは、「安倍政権の政権運営を評価するか」という問いにも、「安倍晋三首相が示した2020年までの改憲に賛成か」という問いにも、50人の候補者中41人が無回答、つまり発言すること自体を拒否している。

 ちなみにこれらの問いには「わからない」という選択肢もあることから、他の候補者で回答を拒否した人はほとんどないという。つまり、少なくともこの41人は、親分である小池氏が態度を明確にしない限り、国の政治の有り様や日本国憲法についての評価といった、政治家以前に日本国民であればそれなりの評価があってしかるべき基礎的な事柄ですら、なにひとつ自分の意見を持たない烏合の衆というか、小池百合子様の御意向のみに従って動く投票機械ってことなのだ。忖度どころの話ではない。これは異様なことではないだろうか。

 都民ファの新人議員の中には政治のズブの素人も多い。それが小池人気にあやかっていきなり都議の地位についた。だが、それ自体は悪いことではないだろう。素人の感覚を地方政治に活かすことは確かに大切だと思う。だがこれはあんまりだ。議会制民主主義を馬鹿にするにも程があるのではないか。そんな烏合の衆をマキャベリスト小池は投票機械として有効に使いながら、まずい事があったときは関係ない顔をして切り捨てられるポジションを確保して、権力への階段をさらに上り詰めてゆくつもりなのだろう。

 小池知事を支持することだけがレゾンデートルの都民ファには元々、政治団体として不可欠の政治綱領もまとまった政策らしきものもない。あえて挙げれば情報公開くらいだが、これはまあもちろん重要ではあるけれど当たり前のことを言ってるだけだ。そうした政治団体もどきの構成員が、親分の指示待ち状態に陥るのはある意味当然の帰結ではあるのだが、国民の信託を受けた政治家として恥ずかしくはないのだろうか。そうした状態で親分がいなくなったら、この人たちは果たして自分一人の責任で物事の判断をするということができるのだろうか。

 小池代表の後任には野田数幹事長が復帰する。この野田数という人は小池百合子の秘書を振り出しに、元は保守党(なつかしい)の候補者として衆院に立候補(落選)、その後、自民党に属して東村山市議を務め、さらに日本維新の会から再び衆院に挑戦して再び落選、浪人時代はアントニオ猪木参議院議員の秘書を務めたが背任だか横領だかで訴えられているというなかなか賑やかな経歴の持ち主だ。だが、なにより有名なのはこの人の超極右ぶりで、「日本国憲法を無効化し大日本帝国憲法の復活を願う」請願を紹介したりしている。

 ま、いくら烏合の衆だからと言ったって、こんなアナクロの狂人のような人物をトップに頂いてこれから4年間、60人からのいい大人たちがまとまっていけるとも思えないのだけれど、小池が意図して放し飼いにし、現在進行させている事態は素人っぽくソフトな顔で票を集めた「都民ファーストの会」を一字違いの「都民ファシストの会」に変容させてゆく過程にほかならないことを、見過ごしてはならないと思う。



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