7月8日に原発の新規制基準が施行されたのを受けた翌9日、、北海道、関西、四国、九州の4電力会社は早速、原子力規制委員会に対し5原発計10基の原発再稼働に向けた安全審査を申請した。

 さて、ここで「安全審査」というが、その審査基準は「安全」基準ではなくこのたび施行された新「規制」基準に定められている。「神は細部に宿る」だ。あえて「安全」といわないところがミソで、新規制基準には事故で原子炉格納容器の圧力が高まった際、放射性物質を減らした上で格納容器内の蒸気を外部へ放出する「フィルター付きベント設備」の設置や、十分な電源車、注水ポンプの配備が求められている。

 で、例えば「フィルター付きベント」だが、これはまあ格納容器の爆発を防ぐのに格納容器自体の設計基準を見直したら全原発イチから造り直しになりかねないので苦し紛れに採用した基準なのだけれど、ざっくり判りやすくいえば放射性物質を多少「減らした」程度で環境中に放出してもええよってコトだ。つまり、規制基準をクリアしたところで「安全」はぜ~んぜん保証されないのであって、だから「安全基準」とはいわないんだよね。まあ、国語の使い方としては正しいと思うけど、ンなもんもちろん、生命と環境の危機の前には何のナグサメにもなりはしない。

 福島第一原発では今も放射能汚染水が漏れ続けているし、格納容器も中の核燃料の状態もどうなっているかすら誰にも判らない。さらに昨日は海に近い観測用井戸で著しい高濃度の放射能汚染が検出され、本日10日に開かれた原子力規制委員会は東電による原因説明について「疑問がある」との認識で一致、「高濃度の汚染水が地中に漏れ、海洋への拡散が起こっていることが強く疑われる」との認識を示した。はっきりいうと、海に放射能汚染水が漏れだしてるってコトだ。

 さらに、この福島第一原発事故により居住地が「帰還困難区域等」に指定されて帰宅できない原発難民は15万人を数え、「原発で死んだ人は一人もいない」とのたまった自民党高市早苗政調会長の呆れた認識とは異なり、原発関連とされる死亡者は1500人に達しているという。つまり、福島第一原発事故は収束などしておらず現在もなお不測の事態が新たに発生する可能性をはらみつつ進行中であり、事故の原因すら解明されてはいない。

 そうした環境下で、何事もなかったかのようにこの国の首相は原発のセールスに走り、電力会社は原発再稼働に向け着々と既成事実を積み重ねてゆく。この人たちにはそもそも、恐れや恥といった感覚が欠落しているのではないのか。こんな連中に日本の未来とエネルギーを任せておいて良いのか。21日の選挙ではしっかり回答を出さねばならない。


 ところで、これに関連して「週刊朝日」7月19日号が、結構破壊力のあるスクープを報じているので、以下、転載させてもらう。タイトルの「驚愕」が効いているが、まあ、ありそうなことだよなって気もしたりして。なお、同記事本文冒頭にある再稼働申請の日付は先にも書いたように実際には9日だったが、原文のまま転載する。


【以下転載】

 驚愕! 東電幹部 原発再稼働へ向けて猛暑を念じ、経産省幹部へメール

 電力4社は7月8日、原発の再稼働を申請する。その直前、経済産業省幹部が「柏崎は、やはり反発がきましたね。根回し、ウラでどの程度、されたのでしょうか?」などというメールを東京電力幹部に送っていたことがわかった。本誌が入手した10通のメールには安倍政権の“再稼働シナリオ”が赤裸々に記されていた。ジャーナリストの今西憲之氏と本誌取材班が取材した。

 冒頭のメールを出した経産官僚が気にしていたのは、東電が再稼働を目指す新潟・柏崎刈羽原発6、7号機についてだ。福島原発事故の当事者である東電だけに、再稼働のハードルは高いため、6月に東電幹部に宛てたメールでこう危惧していた。

〈反発、怖いのは御社がKK(柏崎刈羽)で動かれる時でしょうか。一気に世論が高まり、地元もNOというしかない状況になりかねません。過去の裏での積み重ねが、一気に壊れてしまう。そのところ、いかがでしょうか? 巧妙にされておられるとは、思ってはいますけれど〉(経産官僚)

 後に経産官僚の不安は的中した。

 東電は7月2日、柏崎刈羽原発の再稼働申請の意向を表明したが、これに対し、新潟県の泉田裕彦知事がこう猛反発したのだ。

「地元に何の相談もなく申請する。こういう態度で、立地地域との信頼関係を築けるはずがない」

 翌日の新聞、テレビ各社がトップで泉田知事の発言を大きく取り上げたが、それを読んだ東電幹部はメールでこうぼやいていた。

〈どの新聞もトップで、新潟県知事でほとほと、まいりました〉

 さらに東電幹部は地元の対応については、こう暴露している。

〈離れたところで地元と話をすると、早く再稼働してもらわなければ困るんだよ、東電さん、とみんな話している。それで、再稼働を申請しますよとなれば、反対だ、地元の同意を要求でしょう、本当に。あなたたち、どうすればいいのって、言いたくもなります。議員さんたち、たいてい、(原発関係の)商売にかかわっている。再稼働しろという、だが、議会になれば、ダメダメ〉

 一方の経産官僚は冷静に事態を分析し、その先の展開をこう予測している。

〈柏崎は、やはり反発がきましたね。(略)先に地元の了承をとりつけろとの論になるでしょう。それやっちゃったら、永遠に再稼働は無理なことは明白。わが社OB、新潟県知事(泉田氏は経産省OB)、次の選挙はまだ先。つめたいでしょうね、きっと。他の事業者の動向を眺めつつ、申請となるのでしょうか〉

 この予測は現実となりつつある。

 泉田知事は7月5日、説明に訪れた東電の広瀬直己社長に再稼働の拒否を改めて表明し、申請は延期となった。

 本誌が入手した計10通のメールは、いずれも今年5月から7月にかけ、東電はじめ複数の電力会社幹部と経産官僚との間で、“情報交換”として交わされたものだ。いずれも原子力ムラの露骨な「本音」が赤裸々に記されていた。

〈夏は猛暑という世論形成はどうなるのでしょうか? 1F(福島第一原発)の事故で2度の夏を経験。結局、原発なくとも電力がまかなえたので、大丈夫だとの意識が国民に植え付けられているのではないでしょうか。もう、足りないだけでは、国民の意識は変えられない。/(他メールの引用)気温40度が3日間ほど続けば、原発再稼働してほしいとの声が高まるはずです。/天に任せるのも、つらいところです。昔のようにお金だけでは世論は操れず、時代がかわってしまいましたね…〉(経産官僚)

 これは5月頃に経産省幹部官僚と東電の原発部門幹部の間で交わされたメールの一部だが、さらに生々しい記述もあった。

〈今年の夏、気温40度くらいまで猛暑になれば、議会、世論ともに再稼働容認になるだろうとか、つい期待して、毎朝、天気予報を見ています。あがれ、あがれと新聞の天気図に手を合わせていると、ビール飲みながら、笑わせている上司もおります。情けないですが、今のうちには、猛暑頼み、すがるしかありません。株じゃないですが、あがれ、あがれ!〉(東電幹部)

 事故の反省もなく両者が「猛暑」の話でこうも盛り上がる背景には、原発再稼働の命運を決める“一大イベント”を前にしても再稼働に否定的な世論へのいら立ちが垣間見える。

 原子力規制委員会は福島第一原発の事故を受けて作った原発の新規制基準を7月8日に施行。これを受け、全国4電力会社が6原発12基の再稼働を申請するという。申請を前に、メールで入念な情報交換をしていたことが読み取れる。


【転載以上】

 はあ~、これがこの国のキャリアと電力会社とのやりとりなんだよねえ。
 このところのこの猛烈な暑さ、連中の「雨乞い」ならぬ「猛暑乞い」のせいだったのかぁ!
 ますます腹が立つぞ。
関連記事
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://yamatomori.blog.fc2.com/tb.php/47-a5930aff