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  9月26日、今朝は雲が多く、朝7時の開門を待ちかねて中庭に出たときは小雨が降っていました。8時半にいつも通り主治医が病室を訪ねてこられて私の手術跡の傷口を確認。傷口は左の脇の下にあって私には見えないのですが、指先で軽く触れながら「うんうん、抜糸できそうですねぇ」と言われた後、背後でプチプチ糸を切る音が聞こえて、それが終わったら抜糸は済んでいました。いつもながら、とにかくやることが速いです。

 もう一カ所、ドレーンが入っていた穴を塞いだ際のふた針の抜糸が残っているのですが、それだけの為に入院を続けるのもなぁ・・という話で、明日の午後、退院することになりました。その抜糸は通院で行います。また、それと同時になるかどうかは判りませんが、肺生検の最終結果が出るのを待って、治療方針が決定されることになっています。呼吸器外科の領分はここまでで、以後は呼吸器内科が闘病のパートナーになります。さて、どんな結果が出るんだろうなあ。まあ、どんな結果であれ、受け入れる以外の選択肢はないのですが。

 さて、冒頭に書いた小雨に濡れながらの中庭探索の件に戻ってのお話。まだまだ日中は30℃を超えるような日が続いていますが、季節は確実に進んで、この病院の小庭園もはや、実りの季節を迎えています。昨日の記事でアラカシとウバメガシの堅果についてはお伝えしましたが、それに続き今日も果実の話題を二つ。

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 これは、まだ未熟ですがクヌギの堅果(どんぐり)です。昨日書きましたようにウバメガシやクヌギが属するコナラ亜族の殻斗(お椀)にはツブツブがあるのですが、クヌギはそのツブツブがより発達して写真のようなトゲトゲとんがりになっているのが特徴です。これが成熟すると中央からずんぐりしたドングリの頭が顔を出し、殻斗のトゲトゲは外側にてんでバラバラにそっくり返って、「いいかげん散髪に行ったらぁ?!」って言われた、まだ若き頃のワタクシの頭髪のごとき状態になります。今はもう悲しいかな、散髪など行かなくとも、そんな贅沢な状態には決してなりません。(^o^)

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 これはカクレミノの果実です。カクレミノはこのあたりの藪山なら必ず見かけるありふれた亜高木ですが、30個ほどの果実が球状に集合していて、その一つ一つの中心に8㎜ほどの大きな種子が隠されています。このように果肉の中心に種子を持つ果実を「核果」(かくか)といいます。核果は私たちが見慣れた桃や柿などに見られる最も果実らしい果実ですが、ほとんどの場合、主として鳥などに果肉を報酬として与える代わりに、糞と一緒に種子を広域散布させる植物の繁殖戦略上の必要から進化してきたものと考えられています。ちなみに、このような種子散布方法を「被食散布」と言います。 写真の核果は今年実ったばかりの未熟果で、黒く熟すにはさらに1年ほどもかかります。

 この中庭にはカクレミノが数本植えられていて、写真と同じ球状に固まった核果が枝のあちこちに付いていました、ですが実はコジロー、こんなにたくさんカクレミノの結実を見るのは初めてなのです。不思議なことに、このカクレミノの果実は、山の中ではほとんど見かけません。先にも書きましたように、熟すまでの期間が長く一年中木に付いている果実ですので、あればすぐわかるはずなのですが、これは一体どうしたことなのでしょう。

 で、素人推理。前述のように、核果は食べられて初めてその役割を全うすることができるのですが、このような地方中核都市の真ん中では実を食べてくれる動物がいないため、人間の目に触れるまで残ったのではないか。一方、山の中では果実を食べる鳥類やげっ歯類がふんだんに生息していて、人間の目に触れる前に全部食べちゃうんじゃ〜ないかな〜??  ん〜、けど、そんな未熟なのを食べて美味しいのだろうか。ちゃんと消化できるのだろうか。と、この辺りの疑問への回答は、次への宿題ですねえ。

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 さて、そのカクレミノについてもう一つの話題。ここに並べた三枚はすべてカクレミノの葉です。左からグー・チョキ・パーって感じですね。このようにひとつの樹木が形態の違う葉を
付ける性質を「異形葉」といい、身近なところではヒイラギも異形葉です。クリスマスツリーの飾りにもするヒイラギはあの鋭いトゲトゲがトレードマークですが、実はトゲトゲのない葉もあって同一の木に同時に付きます。カクレミノもヒイラギも若いときには分裂葉を付け、老成するに従って丸い葉をつける傾向があり、「やっぱ人間と同じでトシを取るとカドが取れるわ」なんて冗談を言うのですが、カクレミノでは木の上部には丸い葉が付き下部に分裂葉が付く傾向なども明らかにあります。

 その理由について研究した人がいて、それによると、上部の丸い葉は密度が高く、下部の分裂葉は密度が低いそうです。手で触った程度ではその差は判らないのですが、この結果は上部の丸い葉の方が下部の分裂葉より光合成能力が高いことを示しています。また同じ研究で、相対照度(日向に対する日陰部分の明るさの程度)が30%を切ると、分裂葉が一気に増えることが確認されています。

 つまり、カクレミノは光条件の良い上部にはしっかり葉緑素を投資した葉を展開して盛んに光合成を行う一方、上部の葉に遮られて光条件の悪い下部の葉には葉緑素への投資を抑え、光条件の悪い環境下でのそこそこの光合成でも収支が合いモトが取れる戦略を取っているのでしょう。下部のみ葉の形状を分裂させるのも、さらにその下の葉にも無駄なく光を供給するための適応と考えれば筋が通ります。また、写真では分裂葉の葉柄が突出して長いですが、この葉柄の長さは分裂葉の共通した特徴で、この面からも、下部ほど葉を広く展開して少ない光を精一杯生かそうとするカクレミノの見上げた根性を見ることができそうです。

 ここまで考えてくれば、カクレミノの幼樹がすべて分裂葉という理由も判ってきた気がします。ということで、また推理。母樹が林冠に葉を広げて光を遮られた暗い林床で発芽したカクレミノの幼樹は、当然のことながら、そんな光条件に恵まれないところでの成長を余儀なくされます。そうした環境で、少ない光を最も効果的に活かせるようカクレミノがとった戦略が、あまり投資を必要とせず、木の上下でまんべんなく貴重な光をかき集めて無駄なく利用できる、低密度分裂葉展開作戦だったということなのではないでしょうか。

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 さらに問題。これはカクレミノの枝を上から撮影した写真です。まず、それぞれの葉ができるだけ重ならないよう、螺旋系に展開している点を確認。これはもちろん、日光を無駄なく利用するための適応で、多くの樹木の葉に共通する特徴です。で、その次が問題。昨年までの葉は丸く、今年展開したばかりの葉は分裂しています。 ん〜、とすると、上の方が光条件はいいはずだから、この現象はさっきまでの推理と矛盾するのではないかい? もしかしたら、展開したての分裂葉は時間とともに丸い葉になるのかな。 このあたりは、観察もしつつ、また次への宿題です。ホント、生物の世界は奥が深いです。


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