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 10月5日、昨日は午前中に呼吸器外科の診察があり、ドレーン挿入孔の抜糸が済んで主治医の許可も出たので、午後からほぼ三週間ぶりに仕事に復帰しました。

 手術後の傷口の痛みはもうほとんどありませんが、左胸全体が神経過敏になったような感覚で、衣類に触れるたびピリピリとした尖った痛みがあります。じっとしている分には感じないのですけど、少し歩くだけでも衣服と擦れて痛みが走り、なかなか普通には歩けません。それを訴えると、主治医は大きく頷き、「ああ、そうですか、やはりね、肋間神経痛ですねえ」と話されました。胸腔鏡は肋間神経が走る胸膜を貫いて入るので、こうした肋間神経痛をきたしその痛みが結構長期間、ときには半年以上も残るケースがあるそうです。

 胸腔鏡下肺生検は全身麻酔下で行う一人前の手術ではありますが、がん病巣の摘出などと違い、確定診断のための単なる検査に過ぎず、これをしたからといって何の治療になっているわけでもありません。にも関わらずこの身体的負担はなかなかつらいものがあります。入院してから仕事に復帰するまで3週間というのも、現役の労働者にはかなりの負担です。高解像度のCTも開発されていることだし、もう少しなんとかならないものでしょうか。

 それはさておき、その診察でこの度の肺生検についての病理組織診の結果が示されました。肺生検では左肺の上葉と下葉から、それぞれ2cmほど肺の組織を切り取っており、それらの組織を顕微鏡等で詳細に観察検討するのですが、その結果、病理専門医はコジローの病変をNSIPとする所見を報告しておられました。それにしても、左肺下葉の組織切片について「正常細胞含まず」とのきっぱりした報告には、改めて冷厳な現実を突きつけられたような気がしました。

 ここで、間質性肺炎の診断についてあまり立ち入った話をするつもりはないのですが、そのNSIPを理解してもらう上で最低限の基本的な点に絞って少し書きます。まず、特発性間質性肺炎は、(Ideopathic Interstitial Pneumoniti)の頭文字をとってIIPs(アイアイピーズ)と略称されています。最後に複数を示す小文字の「s」が付いているのは、ひとくちに特発性間質性肺炎といっても一様ではなく、異なったタイプが複数あることからで、2002年にヨーロッパと米国の学会はこれを7つのタイプに整理、日本の厚生労働省も基本的にこれに準拠したガイドラインを定めています。

 この7つのタイプのうちで最も多い疾患は特発性肺線維症で、(Idiopathic Pulmonary Fibrosis)を略してIPF と呼びます。IPFは病理組織型からは通常型間質性肺炎といい、 (Usual Interstitial Pneumonia)を略してUIPと呼ばれることもあります。このIPF/UIPは特発性間質性肺炎の症例のうち約3分の2を占めるからこそ「通常型」と呼ばれるのであり、ひとくちに「間質性肺炎」といえば、このタイプを指すことが多いのですが、一般的には確定診断後の5年生存率が3~4割、10年生存率が1割といわれる恐ろしい病気です。現代の医学では完治は望めず、いくつかの新薬に期待が寄せられていますが、これまでのところ延命効果がすべての症例について有効と証明された薬も治療法もありません。ただ、個人差も大きいようで、ここで示された5年生存率などはあまりあてにはならないという話もあります。

 さて、そのIPF/UPIに次いで多いのが、特発性間質性肺炎の症例のうち約1割を占める非特異性間質性肺炎で、(NonSpecific Interstitial Pneumonia)を略してNSIP と呼んでいます。つまり、コジローはこのNSIPと診断されたわけです。NSIPにもさらに「線維化型(fibrosing)=f型」と「細胞型(cellular)=c型」の2つのタイプがあり、コジローがどちらのタイプかは現時点で不明なのですが、出現頻度はf型が圧倒的に多いようですので、恐らくはこちらだと思います。

 で、気になるf-NSIPの確定診断後の予後ですが、5年生存率が9割、10年生存率が3割強といったところのようです。生存者が5割を切るのは8年目くらい。間質性肺炎と診断されたときはまずIPF/UIPであることを前提に調べ、先に示した5年生存率や、コジローの年齢での平均余命が2年半なんてデータに接して覚悟を決め、腹をくくり、残された時間を測り、動けるわずかの時間のうちに何をするかを真剣に考えていました。

 それからみれば、抵抗できる時間はどうやら数年ほど延びる可能性があるようですが、執行猶予状態であることに本質的な違いはありません。でもまあ、なんだかんだいっても、生きられる時間が若干は増えたらしいことは素直に嬉しいです。やり残したことも、それから逝っちゃう前に後始末を付けなくてはならないことも、まだまだたくさんありますからねえ。

 たった一度の人生、時間って本当に大切ですよ。一期一会、光陰矢のごとし、二度と帰らぬ今この瞬間を、悔いなく、有効に使いたいものだとつくづく思います。



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