11月3日、久々に山を歩いてきました。前回の山行は7月末の立山大日岳。その山行で体験した異常な息苦しさが、特発性間質肺炎に罹患していることを発見するきっかけとなりました。以来、これとの闘いをめぐって様々な経過があり、9月下旬に胸腔鏡下肺生検を実施、これに起因する肋間神経痛に悩みながら約50日を過ごしてきました。その大日岳以来、3か月半振りの山です。

 向かったのは西大台。先にも書きましたが、日本で唯一の利用調整地区であり、通常期の平日は30人、週末は50人に入山者が制限されています。コジローが入った3日は利用が集中する紅葉期ということでこの人数制限がやや緩和され100人がリミットです。環境省大台ヶ原ビジターセンターのホームページで入山許可の発行数が確認できるのですが、それによればこの日は70人ほどが利用したようです。

 大台ケ原は紅葉の名所として名高く、この時期は関西一円のみならず全国から観光客が殺到、広い駐車場から車が溢れて最大3キロほども大台ドライブウエイに路駐(厳密には交通違反です)の列ができるほど。しかし、そんな東大台の喧騒をよそに、許可がなければ入れない西大台は450ヘクタールの広大な原生林にたった70人ですから静寂そのもの。

 西大台は周遊して元に戻るコースで、入り口の分かれ道で左右どちらかの道を選ぶのですが、体調に自信がない自分は他の登山者の邪魔になることを懸念し、環境省のお勧めもあって皆さんが選択する反時計回りコースとは逆の時計回りコースを選択した結果、追い越されることは一度もなく、数度、逆コースの登山者と行き違うほかは終始、原生のままの静かな山の空気に耽溺することが出来ました。

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 大台ケ原は年4000ミリ以上という日本有数の多雨地帯であり、こうした恵まれた自然条件から見事な原生林が形成されています。最高峰の日出ヶ岳や大蛇嵓などの名所がある東大台は伊勢湾台風の被害とオーバーユース、それに鹿の食害で瀕死の状態まで破壊されてもう見る影もありませんが、厳格な保護の手が入った西大台はそこまでの破壊を何とかまぬかれ、今も往年の大台の雰囲気を残しています。写真はその一端、苔むす巨大な倒木や枯死木が点在し、豊かな生物多様性を支えていることが見て取れます。

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 森の中を、清流が網の目のように走っています。

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 紅葉を楽しむにはもう手遅れでしたし、天気もイマイチでしたが、こんな懐かしさがこみ上げるような森の風景がそこここにあり、非常に満たされた気持ちで今回の軽山行を終えました。

 で、ちょっと森林インストラクターらしく、今回確認した主な樹木の確認。西大台の植生は基本的に日本アルプスの亜高山帯に相当し、ブナ、ミズナラ、ウラジロモミ、トウヒ、ヒメシャラなどの高木層が優占する原生林で、これにオオモミジやオオイタヤメイゲツ、アサノハカエデなどのカエデ類やコシアブラ、リョウブなどが紅・黃葉しつつ亜高木層を形成し、ツツジ類が低木層を、さらに赤い実をつけたミヤマシキミが一部の林床を広く占有していました。一番最後の写真で林床は落ち葉で覆い尽くされて単調に見えますが、恐らく春になればカタクリやスミレ類などの春植物が一斉に芽吹いて賑やかになるはずです。また、その時期に、この豊かな森にやってきたいと思いました。

 このハイキングは、体調を確かめることも目的の一つで、肺でのガス交換が正常にできているかを測るパルスオキシメーターという器具を装着して歩きましたが、ちょっとした登りになると、いくら速度を落とし深呼吸を心掛けても、その値(正確にはSpO2といいます)がガクンと大幅に落ちてしまいます。自分の感覚ではこんなの息切れのうちに入らず、もっともっと窒息しそうに苦しい状態になっても、歯をくいしばって耐える感じでこれまで登山を続けてきたのですが、もしその時この器具で測っていたらきっと、見るも恐ろしい数値が出ていたと思います。ともあれ、もう、あまり厳しい山行はできないことを認めざるを得ませんでした。

 ・・けど、こんなことで落ち込まないのがコジローのコジローたるゆえんなのであって、下りだったら数値も正常、鼻歌交じりでホイホイ歩けるんだもんね。我が「紀峰山の会」のなかに「紀峰下山の会」なんてのを作って、樹木を観察しながらのんびり下るばっかの山行プラス温泉で痛飲って山旅を楽しむことにしようと思ったりしています。山頂にこだわりさえしなければ、富士山5合目から精進湖とか、立山室堂から美女平とか、工夫次第で下りのみで済む山行プランが次々に頭に浮かんだりするのでありますよ。そんな山行が実現したら、またここに報告したいと思います。



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